カミデのブログ

日夜、創作と修行、音楽製作にあけ暮れる、音楽家の生活

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石の上にも3年、意思の上に10年

 2007年春に日本初のiTunes Music Storeの配信が開始が発表されました。もう8年近い歳月が流れたのですね。当時の日本では、音楽配信はアマチュアサイトで基本的に無料というのがほとんどでした。自分で作ったものを公にしてそれを販売していたのは、メジャー・レーベルや比較的力のある独立系レーベルのみでした。

 

 当時は一般的に、配信などはアマチュアや音楽愛好家が無料で提供する手段でしかなく、ほとんど音楽関係者は、自分たちの作った音楽を残していく手段として、CDを作るというのがあたりまえでした。違法コピーなどいろいろ問題があって陰りは見えていたものの、まだ音楽産業全盛の時代だったのです。

 

 2006年末にiTunes が日本に上陸すると知ったときには、あわててアップルのカリフォルニア本社のほうにメールで問い合わせました。翌年の2007年の初め頃に、日本国内で対応しているディストリビューターのリスト(確か5社ほど)が送られてきました。

 iTuens配信は、アメリカで開始されたときから配信することを考えていて、米国サイトから登録しようとしたら、米国の社会保障番号が必要だということで断念。そのときから、日本で登録できるのを、ずーーーっと待ってましたからね。

 

 アップルから送られてきた、ディストリビューターのリスト、そのうち2社が完全な日本企業、その他は米国企業でした。で、日本企業2社に早速電話しました。メール連絡ではありません。電話です。で、何度もやりとりして対応が気持ちよかった、B社と契約することにしました。

 このB社は、担当者の方が直接音源を聞いてくれて感想くれたりして、とても気持ちの良いお取引ができました(ヤフオクの決まり文句ですね〜笑)。のちにこの担当者の方はB社の配信部門の社長さんになり、僕の担当は別の方に替わります。で、さらにその後、配信部門が売却されて、今は業務そのままを引き継いだ、S社になっています。

 結局、当初あった日本企業2社のうち、最初に契約したB社(後にS社が引き継ぎ)が、今や国内配信全てを牛耳るほどになっています。いろいろありましたが、時のたつのは早いものです。

 

 石の上にも3年という言葉があります。何かを成し遂げたければ、最低3年は修行しないといけない、という意味ですが、これは実は非常に理にかなった話でありまして、マルコム・グラッドウェルの1万時間の法則というのがあります。ひらたくいえば、何かの技能を得るためには1万時間必要ということで、一日9時間半、3年間休まず続ければ1万時間になるという事なのです(9.5x365x3=10402.5)。結構有名な話なので、興味ある方は、「マルコム・グラッドウェルの1万時間の法則」で検索してみてください。

 

 ただ、これだけでは「達人の域」には行けません。3年というのは、スキルを獲得できるというだけの意味でなのです。つまり「お上手」なレベルです。そこから何かをつかむには、さらに10年必要らしいのです。これを「10年の沈黙」というそうです。

 

 カーネギーメロン大学のジョン・ヘイズ教授は、過去多くの年代の76人の作曲家を選び、「いつ最初に注目される作品を書いたか、傑作はいつ生まれたか、どれほどの数が演奏されているのか」を基準に500以上の作品を調査対象にしました。結果、「作曲を始めて最初の10年やそこらは傑作も注目される作品も一切生みだされてはいなかった。」そうなのです。131人の画家を対象にした調査でも同じ結果が出ていたようです。唯一の例外は天才ピカソ、6年かかっているそうです。それでも6年です。

 さらにハーバード大学のハワード・ガードナー教授が研究書「Creating MInds(創造する心)」なかで、20世紀の7人のイノベーター、アルバート・アインシュタイン、T・S・エリオット、フロイト、マハトマ・ガンジー、マーサー・グラハム、パブロ・ピカソ、イーゴリー・スタビンスキーなどをとりあげ、やはり偉業を達成するには、「10年の沈黙」が必要(前述のようにピカソは6年)が必要だったことを書いています。 この10年の沈黙はアップルを創設して、追放という憂き目に遭いながらも、その後、iPod、iTunes, iPhoneを生み出す、スティーブ・ジョブズにもあてはまりますね(1985年にアップルから追放、1996年にアップル社に復帰)。

 

 何かを成し遂げるには、必死で3年間修行してスキルを手に入れた後に、さらにあきらめることなく、10年間の情熱を傾ける意思を持ち続けなければならないということです。

 

 さらにこの10年の沈黙を破った後も、常に高みをめざしていない限り、能力はどんどん低下するそうです。ヨーヨーマは20代で巨匠の域に達しましたが、現在さらに深みのある演奏をする領域に達しています。練習時間は、若いときよりも多いそうです。

 そう考えると、天才も二十歳すぎればただの人になるのもうなずけます。手に入れたものを維持して輝き続けるためには、さらなる情熱が必要なのです。それはスキルに限らず、人間関係にも通じると思います。

 

 自分に与えられた時間、生まれた瞬間からカウントダウンされていく、限られた時間をどう使っていくのか、そして、人と人との関係性に於いても、自分だけの時間だけではなく、相手との関わる時間、それによって構築される信頼関係、そこに情熱を傾けることの大切さを考えます。

 SNSの普及でお手軽な「友達」が増えました。メールやSNSで簡単にやりとりができるようになりました。一つ一つのやりとりが、手軽で軽薄なのにもかかわらず、「友達」です。「そんなことはわかっているよっ」という人でさえ、自分が投稿したFacebookの友達からの「いいね!」の数を気にします。こういった軽薄なToolで人間関係が維持できている、つながっていると考えているひと、意外に少なくないです。

 僕は基本的にきちんとした連絡のできない人、いい加減な態度の人、たとえそれが悪気があるないにかかわず、そういう人は信頼関係に値しない人になります。仕事にゆるキャラは必要ありません。信頼関係を構築することも時間の流れで得られるものとするならば、それをおろそかにすることで、失われるものであるということを知るべきだと思うのです。

 

自分と関わる時間、

他人と関わる時間、

そして目標達成のための時間、 

時間をいかに使うかが、人としての生き方そのものと思います。

 

 さてさて、僕も2008年に配信を始めて今年で7年目になります、あと3年で10年の沈黙を破れるのでしょうか!

 

 

 

 

5月13日、ピアノアルバム 2タイトル同時発売です!!!